おいも貴婦人ブログ

生物系博士課程満期退学をしたAIエンジニアのブログ。

Nature Article(リボソームの自己集合、アセンブリ、形成における30Sの初期段階について)

大腸菌リボソームアセンブリ(Assembly)に関して書かれている論文を紹介します。生体分子の自己集合に関心があるので、そのテーマに関連する論文を紹介していきたいと思います。以下に書いたものは、論文を基にした私の理解なので、正確性を欠きます。正確な情報を知りたい場合は、下記の論文を参照してください。また、下記の論文の図を参照することで、理解が深まると思います。

感想

どうしてこの論文がNature articleに乗るのかわからなかった。すごく丁寧な仕事をしている印象があるけれども、方法については特に新しいことではない。リボソームの集合において、S4と5WJの相互作用がどれだけ重要なのか分かっていないから、この論文のすごさが分からないだけなのかな?
FRETに関して、もう少し勉強する必要がある。FRET efficency を解釈することはできるが、ドナーとアクセプターの強度の変化が何を表しているのかわからない。

Protein-guided RNA dynamics during early ribosome assembly(2014)

E.coliの30Sリボソームの自己集合に関する論文である。rRNAはリボソーマルタンパク質の結合によって、成熟したrRNAの構造となる。smFRETと分子動力学計算を用いて、初期の段階のリボソーマルタンパク質とrRNAの動態を解析した論文である。

イントロ
  • E.coliの30Sリボソームは、20個のリボソーマルタンパク質と16SrRNAから成る。
  • S4タンパク質が16SrRNAの5'ドメインに結合することによって、30Sリボソームの自己集合の初期段階は進行する。
  • 5'ドメインはfive-way junction(5WJ)を形成している。S4リボソーマルタンパク質が結合してから、5WJの一部分であるh18構造はフォールディングすることが出来る。
S4-rRNAの複合体におけるRNAヘリックスの動態
  • S4にCys3をラベリングする。16srRNAのh3にCys5をラベリングする。
  • h18がシュードノット構造を形成しているとき、h3はS4と近い。中間状態では、h3はS4とh18から遠い。
  • このラベリングにより、リボソームの機能と構造に影響を与えない。
  • 20mMMg2+の環境では、FRETの強度が高いときと低いときの二状態を行き来する。
  • FRETの強度が高いときの構造は、S30の天然構造と一致する。
  • 4mMMg2+の環境では、FRETの強度が低い状態が主となる。そのときの構造は、flipped assembly intermediateと呼び、複合体からswingするように離れている。
  • 5WJのRNAに変異を加えることによって、ネイティブ構造とflipped構造の分布を調べた。
動的に出合う複合体
  • S4のアミノ酸末端はh16とh18と相互作用している。
  • フォールドしていない16SrRNA(21-556nt)をプレートに固定して、S4を流して動的な解析を行う。
  • Mg2+濃度が低くなるほど、中間状態が観測される。そのときswing状態とネイティブ状態を行き来する状態がみられる。
S4-rRNAの結合経路の動力学モデル
  • smFRETから得られる情報から動力学モデルを作った。
  • モデルの状態は4状態あり、RNAだけ、RNA+S4 初期、RNA+S4 中間状態、ネイティブである。
  • Mg2+は、中間状態とネイティブ状態を安定化している。
S4はrRNAの動態を導く
  • S4が結合する前のRNA構造と後のそれを比べるために、h16に2個目のラベルをつける。
  • h3の動きはh16とS4の直線に対して、垂直に動く。この動きはS4が結合すると見られない。
分子動力学計算
  • all-atom simulationでは、h3-h16、S4-h16の動きを確認した。
  • Separate hybrid MD-Go simulationでは、S4がh16の動きを止め、h3の大きな動きを特定の方向に向かわせることを確認した。
議論
  • これはRNA-Proteinのinduced-fitモデルである。