おいも貴婦人ブログ

生物系博士課程満期退学をしたAIエンジニアのブログ。

PNAS(タンパク凝集の始まりと分岐のための自由エネルギー地形)

以下に書いたものは、論文を基にした私の理解なので、正確性を欠きます。正確な情報を知りたい場合は、下記の論文を参照してください。また、下記の論文の図を参照することで、理解が深まると思います。

Free energy landscapes for initiation and branching of protein aggregation

要約
  • 実験で人工的に作られたマルチドメインタンパク質が初期段階で凝集することが示されたが、その詳細は分かっていない。
  • 粗視化モデルであるAWSEMモデルを使って、タイチンのI27やI27*(mutant)のマルチドメイン(最高4ドメイン)を計算した。
  • 自由エネルギー地形は、上記のタンパク質が自発的にミスフォールドするかどうかの情報を与える。
  • 実験結果と一致して、二量体のミスフォールドが一番出来にくい。
  • 異なる条件で、ミスフォールド状態がどのように安定化されるのかを示した。
  • 天然条件における単体のミスフォールド実験と非天然条件におけるアグリゲーション実験との間を結びつけることが出来た。
  • 自発的なミスフォールドの条件は、温度、ローカルのタンパク質濃度、タンパク質間の相互作用などにより決まる。
  • フォールディング温度以上では、アフォールド状態のドメインがnative状態への状態を不安定化する。そして、エントロピー的にアミロイド状態が安定化される。
  • 原理的にエネルギー的に安定化されるので、ドメインスワッピング状態は天然状態でより重要となる可能性がある。
  • 伸びた状態のタンパク質のアニーリングにより、繊維形成前や分岐構造が発見できた。
  • 上記の結果は、それぞれのドメインにおいて、いくつかのアミロイド形成配列(segment)の存在と分岐構造をつなげることを示唆している。
内容
  • マルチドメインタンパク質におけるQ-Scoreの定義、

\(Q_D=\frac{1}{N_D}\sum^{N_D}_{i=1}\left(\frac{1}{N^i_C}\sum_{(j,k)\in\Omega^i}exp\left[\frac{\left(r^{i,n}_{jk}-r^i_{jk}\right)^2}{2σ^2}\right]\right)\)