JCTC(タンパク質間相互作用における、タンパク質の異方性の影響)
全原子計算をやるなら、タンパク質の異方性なんて関係ないのでは?なぜなら、タンパク質間の相互作用をすべて含んでいるなら、その中に異方性の寄与も含まれていて当然である思う。この論文における異方性の影響はどこからくるのか?ただ単にポテンシャルのカットオフなどによるもの?以下に書いたものは、論文を基にした私の理解なので、正確性を欠きます。正確な情報を知りたい場合は、下記の論文を参照してください。また、下記の論文の図を参照することで、理解が深まると思います。
感想
Corase-grained モデルに異方性の影響を入れた論文であると思っていたが、この論文はそうではなかった。"ねばねば(sticky)"モデルを使って何を知りたいのかが分からなかった。タンパク質を球として扱った場合、その挙動の何が知りたいのであろうか?例えば、アクチンの重合は非常に興味深い現象であるが、これは加水分解を伴うので取り扱うのは難しいであろう。
Anisotropic Contributions to Protein-Protein Interaction(2014)
要約
- タンパク質の形や機能の異方性が、タンパク質間相互作用を複雑にする。
- その相互作用において、静電相互作用とそうでない相互作用の寄与を調べた。
- この相互作用は、浸透第2ビリアル係数として計算することが出来る。
- この相互作用がタンパク質の方向に強く依存することを示し、イオン強度依存性を計算した。
- 相互作用において異なるタンパク質の配置は、有為に全体の相互作用に寄与することができる。
- 強い引力をもつ配置に寄与するときのみ、小さいイオンの異方性や水和は全体の相互作用に影響を与える。
序論
- 具体的な異方性の寄与は非球体、チャージの非一様分布、局所的に荒い形、タンパク質の表面における機能
- explicitに溶媒を扱うとき、全原子シミュレーションは異方性を含んでいる。粗視化する場合は、異方性を考える必要がある。
- ひとつのタンパク質を球として扱う時、異方性の寄与はPotential Mean Force(PMF)に含まれる
- Adhesive harde sphere, square-well, Yukawa, modified Lennard-Jones, DLVOなど理想的なポテンシャルが使われる。
- ポテンシャルの有効距離は、系の状態を予測することが出来る。
- 単純なモデルでも、相転移を再現できる。
- チャージの異方性をを埋め込んだモデルもあるが、一般的な”ねばねば”をモデルに入れることに力が注がれている。
- その”ねばねば”モデルは異方性を考える上でフレームワークを提供してくれる。
- ”ねばねばモデルは分子論的解釈は難しい。
- 二つのタンパク質間の異方性を考える場合、浸透第2ビリアル係数B22を考慮するだけで十分である。
- B22の計算では、PMFのボルツマン因子を考えば良い。
- Brownianダイナミクスのシミュレーションでは、オリゴマー形成におけるB22が計算できるけれども、実験と比べようがない。
- patch-antipatch model は異方性を取り入れたモデル。
- それらpatchの占める部分が少なくても、PMFに大きな影響を与える。