おいも貴婦人ブログ

生物系博士課程満期退学をしたAIエンジニアのブログ。

全原子シミュレーションにおいて、天然コンタクトがタンパク質のフォールディングを決定する

以下に書いたものは、論文を基にした私の理解なので、正確性を欠きます。正確な情報を知りたい場合は、下記の論文を参照してください。また、下記の論文の図を参照することで、理解が深まると思います。

Native contacts determine protein folding mechanisms in atomistic simulations (2013)

要約
  • D.Showらが行った計算は、タンパク質をフォールディングさせる相互作用の解明に光を当てた。
  • 天然コンタクトの割合は遷移状態のエネルギー障壁をよく表すことができる。
  • フォールディングメカニズムにおける残基間のコンタクトを定義した。
    • アンフォールドから遷移状態におけるコンタクトの生存時間の対数割合
    • 遷移において、それぞれのコンタクトがどれくらい形成されるかを表したベイジアン測度
  • 天然コンタクトと天然に近いコンタクトがフォールディングに重要である。
  • デザインされたタンパク質\(\alpha_3 D\)を除いて、非天然コンタクトはフォールディングに重要な影響を与えなかった。
イントロ
  • "principle of minimal frustration":タンパク質のフォールディングエネルギーランダスケープは、ミスフォールドやローカルトラップをさけるようにして、進化上デザインされている。
  • Go-model は上記の考え方に基づく。
  • 上記の考えはφ値解析などの実験データと整合する。
  • 非天然コンタクトの影響はフォールディングに重要でないと考えられるが、その検証は十分に行われていない。
  • ノットタンパク質では、非天然コンタクトが重要だと示唆されている。
  • Showらの計算はすごいが、一般の計算機ではできない。
  • 要約
全原子シミュレーションにおいて、Qは良い反応座標となる
  • 全原子におけるQスコアの定義は以下となる。

\( Q(X)=\frac{1}{N}\sum_{(i,j)}\frac{1}{1+exp\left[\beta\left(r_{ij}(X)-\lambda r^0_{ij}\right)\right]}\)
全てのペア数をN。\(r_{ij}(X)\)は構造Xのときのij間の距離。\(\beta\)はスムージングパラメータで\(5Å^{-1}\)。\(\lambda\)は揺らぎを考えたパラメータで、Go modelのとき1.2、All atomのとき1.8となる。ペアijに関して、\(|\theta_i-\theta_j|>3\)となり、iはアミノ酸\(\theta_i\)に属する。jも同様。ij間の距離は4.5Å以下となる。またすべての重原子を考える。

コンタクト生存時間検証
ベイジアンコンタクト検証
結論