JMB(ウィルスゲノムの一本鎖RNAはt=3キャプシドへの形成経路を決める)
以下に書いたものは、論文を基にした私の理解なので、正確性を欠きます。正確な情報を知りたい場合は、下記の論文を参照してください。また、下記の論文の図を参照することで、理解が深まると思います。
Viral Genomic Single-Stranded RNA Directs the Pathway Toward a T=3 Capsid(2010)
要約
- 一本鎖RNAのゲノムをパッケージングするメカニズムはまだ多くの謎が残る。
- 多くの場合、タンパク質にとって、キャプシドの位置によって違う形をとることは、単一のタンパク質からなるウィルスのキャプシドを形成するためには必要なことである。
- バクテリオファージMS2の二量体タンパク質準等価な構成要素は、野生のファージゲノムにだけ生じるRNAのstem-loop(TR)配列依存的な相互作用により、構造変化がおこる。
- 原理的に、T=3キャプシドを作るためには多様な構造変化が必要となる。
- 配列依存的な相互作用を調べるために、2つのRNAアプタマーと、MS2のタンパク質によって区別できることが知られているファージ\(Q\beta\)のキャプシド化をするRNAを、vitroとvivoで使った。
- MS2のTRではないTRはキャプシドの形成を助けるが、MS2とタンパク質を同量入れたときに見られた動力学的なトラップの効果は見られなかった。
- その事実は、TRに比べて結合能が小さく、調べた状況では飽和できなかった。また、アセンブリするために必要な二つの二量体の十分な量が存在することを確かめた。
- \(Q\beta\)のRNAの濃度を増やしても、動力学的なトラップは保持している。これは、上記の考えを確かにした。
- 短いゲノムとともに、TRから伸びるTR stem-loopの5'か3'の影響を調べた。
- それら長いRNAは動力学的なトラップの証拠を見せた。それは、TRの部分を含み、TRよりもキャプシド形成により重要であることが分かった。
- 質量分析をすることによって、TRによって引き起こされるキャプシド化には2つの方法があることがわかった。ひとつは3回回転軸から、もう一つは伸びた5回回転軸から形成される。
- 長いRNAは5回回転軸の方法を抑制する。これはRNAとの多様な結合が立体衝突するからだと考えられる。
- stem-loopに対して反対を向いた配列は、アセンブリの開始を弱める。